06-6

遺言書の種類と書き方

遺言書は、相続において法的効力を持つ重要な書類であり、家族への想いを託した最期のお手紙です。

今回は遺言書の種類についてやさしく解説します。

遺言書の種類

遺言書には「①自筆証書遺言」「②公正証書遺言」「③秘密証書遺言」の3つの種類があります。

秘密証書遺言はほとんど使われていないため、現実的には次の2種類です。

①自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)

自分で書く遺言書

自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)とは、自分で作成する遺言書のことです。

ひとりで気軽に遺言書を作れるメリットがありますが、遺言書の形式は厳格に決まっており、書き方を間違えると無効になってしまうので注意が必要です。

また、文章のすべてを自分で書かなければいけません財産相続についての遺言内容、作成日、遺言者の名前を書いて、押印(シャチハタ不可)をします。

遺言書を自分で作成するときの注意点

遺言書が無効になる例

パソコンで作成したもの、代筆してもらったもの、作成日の記載がないもの、押印がないもの、夫婦連名で作ったものなどは無効になります。

また、内容の一部を変更する場合は、正しい形式で直さないと訂正した内容が無効になってしまうこともあるため、内容を変更する場合は、新しく書き直した方がいいでしょう。

なお自筆証書遺言は、「家庭裁判所での検認」の手続きが必要です。

②公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)

法律のプロが作る遺言書

公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)とは、法律に詳しい「公証人」が作成する遺言書のことです。遺言者が口頭で話した内容を、公証人が遺言書に反映します。

公正証書遺言の作成には、

  • 遺言者
  • 公証人
    公証役場につとめる法律の専門家。
  • 証人(立会人)2人
    信頼でき法律に詳しい知人、行政書士、司法書士などが適任。

の4人が必要です。証人になってもらえる人に心当たりがない場合は、公証役場で紹介してもらえます。

★遺言の証人になれる人、なれない人

遺言の証人は中立的な立場の人

遺言の証人は、誰でもなれるわけではありません。

【証人になれない人】

  • 未成年
  • 財産を受け継ぐ相続人
  • 公証人の配偶者(4親等内の親族)
  • 公証役場の職員

など、未成年や相続について利害関係のある人は、証人にはなれません。

★公正証書遺言は「法律のプロ」が作るから安心!

公正証書遺言は手続きが複雑ですが、法律の専門家である公証人が遺言書を作成するため、「遺言が無効になる」といった心配がありません

また、公正証書遺言は家庭裁判所での検認がいらないので、すぐに相続手続きできるメリットもあります。

★ただし、用意する書類が多い。

遺言書を作成するためには、戸籍謄本、固定資産評価証明書、不動産の登記簿謄本、印鑑証明書など、さまざまな書類が必要となるため、行政書士や司法書士、弁護士など遺言作成のプロに相談すると安心です。

「自筆」と「公正」証書遺言のメリット&デメリット

メリット デメリット
自筆証書遺言 ●ひとりで手軽に作れる
●費用があまりかからない
●文章のすべてを自分で書かなければいけない
●書き方を間違えると無効になる
●紛失や改ざんの恐れがある
●家庭裁判所での検認が必要
公正証書遺言 ●法律のプロが作るので、形式ミスの心配がない
●原本を公証役場で保管するため、紛失や改ざんの恐れが少ない
●家庭裁判所での検認がいらない
●用意すべき書類がたくさんある
●費用がかかる(公証人手数料など)
●公証人と証人2人の協力が必要であり、作成までに時間がかかる

遺言によるトラブルをなくすために

遺言書には、自分が希望する財産の分け方を書くことができます。ただし、遺言によるトラブルをなくすためには相続人の遺留分に十分配慮することが大切です。

また、遺言書やエンディングノートには悪口などは書かずに、家族へのねぎらいや感謝の言葉を添えるとともに、なぜその分け方にしたのか、希望や理由を書いておくことで、遺族の気持ちを和らげ、もめごとを減らすことができます。

この記事を家族・友だちに教える

関連記事

※終活アドバイザー® 、行政書士など有資格者が執筆&監修し、専門性・信ぴょう性の高い内容を心がけています。掲載している情報については充分注意・確認をした上で掲載しておりますが、最新性や正確性を保証するものではありません。
いちばんやさしい終活ガイドでは、より有益な情報をお届けしたいと考えており、もし誤った情報がございましたら、当サイトまでご一報いただけますと幸いです。

ホーム 検索 メニュー