終末期医療はとてもデリケートな問題ですが、“自分の最期をどうしたいか” を決めておかないと、亡くなった本人にも遺族にも悔いが残ります。
ここでは、望む最期を迎えるための「終末期医療」についてやさしく解説します。
終末期医療(ターミナルケア)とは?
終末期医療(ターミナルケア)とは、老いや病気などにより終末期を迎えた方が、少しでも穏やかに過ごせるように、身体的・精神的な苦痛を緩和するケアのことをいいます。
主に次のようなメリットがあります。
- 身体的・精神的な苦痛がない
- 人としての尊厳を保てる
- 家族や医師との良好な関係を保てる
- 家族の負担にならない
- 望んだ環境で、穏やかに過ごせる
多くの人が、苦痛なく、家族のもとで愛されながら最期を迎えたいと望んでいます。
終末期医療では、苦痛の緩和を目的としており、基本的に痛みをともなう治療や延命措置は行いません。
7割以上が「病院」で最期を迎える
高齢者の半数以上が「最期は自宅で迎えたい」と、住み慣れた地元での在宅医療を希望する人が増えています。
ですが、厚生労働省の「人口動態統計(2017)」によると、亡くなった人のうち74.8%が「病院」で息をひきとり、自宅で最期を迎えた人はわずか13.2%と発表されています。
どんな最期を迎えたいか、家族に伝えておく
自分はどんな最期を迎えたいか、終末期医療の希望を家族に伝えておくことはとても大事です。
悔いのない最期を迎えるためには、次のことをしっかり決めておく必要があります。
- 意識不明の状態になったらどうするか
- 治療の判断を誰に託すか
- 延命治療を希望するか
- ターミナルケア(緩和ケア)をどうするか
- 臓器提供を希望するか
- 最期の場所はどこがいいか
- 亡くなった時の告知の有無
家族に負担をかけたくないからと、延命治療はせず自然死を望む方は多いです。終末期医療は、医師任せにせず、人生の最期をどう生きるかを自分たちで決めましょう。
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)
近年は「ACP」の認知が広まっています。
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは、患者と家族、医師や介護士が一緒に、終末期の治療・療養について話し合うプロセスのことです。
意思決定ができなくなったときに備えて、信頼できる医師を見つけ、しっかり話し合っておくことが望ましいとされています。
自宅での看取り
最期は家で過ごしたいと、自宅看取りを希望する人が増えています。
ですが、自宅看取りはご家族に金銭的・肉体的な負担がかかるため、次のポイントを考えて決めなければいけません。
- 在宅医療を行っている地域か
- 経済的・肉体的に介護できるか
- 介護保険や民間保険の内容を確認する
- 本人と家族の意思がとれているか
在宅医療は、ご家族をはじめ、訪問治療する医師や看護師などのサポートが必要であり、環境が整って初めて実現できるものです。
これらの整備には地域差があり、医師、看護師、ケアマネージャー、介護士などがいない場合は、自宅での看取りは難しいでしょう。
信頼できる「かかりつけ医」を見つけよう
老後を安心して過ごすためには、信頼できる「かかりつけ医」を見つけることが大事です。
患者一人ひとりとじっくり向き合い、健康状態や性格を把握している「かかりつけ医」は、いざというとき大変心強いもの。
まだ、かかりつけ医がいないという人は、相性がよく信頼できる「かかりつけ医」をぜひ見つけてください。