昨今は少子高齢化や核家族化の進行により、お墓を管理する人がいない無縁墓(むえんばか)が増加し、墓じまいをする人が増えています。
今回は、「墓じまいとは何か?手順や費用」についてやさしく解説します。
墓じまいとは?
墓じまいとは、お墓に納めているご遺骨を取り出し、お墓を閉じることをいいます。
納められていたご遺骨は、永代供養墓地(えいたいくようぼち)に移したり、遺灰を海や山にまいて供養します。墓地は更地にして、お寺や霊園に返します。
墓じまいの手順や手続き
墓じまいの流れは次のとおりです。
①お墓の管理者に「墓じまいする旨」を伝える
墓じまいするためには許可をもらう必要があるため、まずはお寺や霊園の管理者に「墓じまいする旨」を伝えましょう。
また、後々のトラブルを避けるためにも、墓じまいする際には家族で話し合い「親戚の同意」を得ることも忘れないようにしてください。
管理者へ墓じまいを伝えに行く際には、菓子折りを包むのがマナーです。
②墓じまいの申請手続きをする
墓じまいをするためには、申請手続きが必要です。
以下3点の書類を、お墓のある地域を管轄する役所に提出して「改葬許可証」を発行してもらいましょう。この改葬許可証は、現在の墓地の管理者から遺骨を受け取るとき、引越し先の墓地へ納骨するとき、に必要になります。
①改葬許可申請書
遺骨を取り出したり、納骨するときに必要な「改葬許可証」を発行してもらうための申請書です。
現在のお墓がある市区町村の役所で用意されています。
②埋葬証明書
この人の遺骨はこの墓地に納骨されていますよ!ということを証明する書類です。
現在の墓地の管理者から発行してもらえます。
「埋蔵証明書、収蔵証明書、遺骨埋葬証明書、納骨証明書」とも呼ばれます。
③受入証明書
新しい墓地への納骨を承認したと証明する書類です。
引越し先の墓地の管理者から発行してもらえます。
「永代供養許可証」とも呼ばれます。
③石材店に依頼する(墓じまいの手配)
現在のお墓を撤去して更地にする、遺骨を取り出して引越し先のお墓に納骨する、といった作業は「石材店」に依頼します。
業者によっても金額が異なるので、2~3社に見積もりを取るのがおすすめです。お墓の管理者に提携している石材店がないか尋ねてみても良いでしょう。
④墓じまいの作業を行う
遺骨を取り出すための儀式「閉眼供養(へいがんくよう)・魂抜き(たまぬき)」を行います。
閉眼供養の際に、僧侶へお布施「1~5万円程度」を包みます。
また、現在のお墓を離れて遺骨を移すことを「離檀(りだん)」と呼び、お寺へのお礼の意味も含めて、離檀料「3万円~15万円程度」を渡すのが一般的です。
石材店にお墓の解体・撤去工事、遺骨の引取りを行ってもらい、お寺や霊園の管理者に土地を返します。
⑤引越し先のお墓に納骨/もしくは自然葬
引越し先のお墓に納骨する際には、「納骨式」を行い、僧侶へお布施「3万円~5万円程度」を包みます。
遺灰を海や山にまく場合は、業者に頼んで散骨をして、墓じまいの完了です。
散骨や手元供養など、すぐに遺骨を埋葬しないときは、トラブルを避けるためにも、「遺骨引渡証明書」を墓地の管理者に発行してもらっておいてください。
墓じまいにかかる費用
墓じまいにかかる費用の相場は、「20万円~50万円程度」です。
その内訳は、
費用相場 | |
---|---|
お墓の解体・撤去費用 | 10万円~30万円程度 |
離檀料 | 3万円~15万円程度 |
閉眼供養のお布施代 | 1万円~5万円程度 |
納骨式のお布施代 | 3万円~5万円程度 |
その他(納骨式の会食費や車代) | 1万円~2万円程度 |
となっています。
お墓の解体・撤去費用は場合によって、50万円を超えるなど高額になることもあるため、あらかじめ石材店にお見積もりを依頼しておくと安心です。
「墓じまい+散骨」する人が急増!
最近は「墓じまい+散骨」する人が増えています。お墓の管理をする必要がなくなり、金銭的な負担も減るため、肩の荷が下ります。
散骨して遺灰がなくなってしまうのが少し寂しいと感じる方は、遺灰の一部を手元に残して「手元供養」するのもよいでしょう。
第5章「お葬式・お墓」