おひとりさまの高齢者が増えている昨今。同じお墓に入る「墓友」が終活で話題になっています。
今回は「墓友(はかとも)とは何か?メリットやデメリット、墓友の作り方」についてやさしく解説します。
墓友(はかとも)とは?
墓友(はかとも)とは、一緒のお墓に入ることを約束した友だちのことです。
おひとりさまの高齢者が増えている昨今。ひとりでお墓に入るのは寂しいといった場合に、生前に親ぼくを深め、墓友を作る人が増えています。
墓友は、無縁社会を象徴する孤独なお年寄が増えているネガティブなイメージをもたれがちですが、血縁に縛られない “自分らしい埋葬方法” の一つとして、ポジティブな意味もあります。
墓友が増えている背景
墓友が増えている背景には、おひとりさまの高齢者が増加していることがあげられます。
墓友を作る人は、生涯未婚、子どもがおらず妻や夫に先立たれたなど、ひとり暮らしの高齢者が多いです。中には、結婚して子どもはいるけど家族に負担をかけたくない、という人もいます。
老後のおひとりさまは増加傾向にあり、今後も「墓友」という新しい形のコミュニティが増えていくと予測されます。
墓友のメリット
墓友をつくることで、次のようなメリットがあります。
交友関係が広がる
墓友をつくる一番のメリットは、生前に「交友関係が広がり、親ぼくを深められる」ことがあげられます。
ひとりで終活をするのは、やはり不安です。同じ生死観をもつ人、意見が合う人を見つけることができれば、気持ちも楽になるでしょう。
無縁仏をさけられる
現代の日本では「お墓の継承者不足」が問題となっています。
身寄りがなく、お墓を守ってくれる人がいない場合、そのお墓は無縁墓となり、誰にも供養されることなく放置され、無縁仏になってしまいます。
同じ生死観をもった墓友をつくることは、無縁仏の対策にもなります。
孤独死をさけられる
老後のおひとりさまは「孤独死」のリスクも高いです。
ひとり暮らしのお年寄りは、孤独でご自身の最期に不安をもつ方も多く、頻繁に連絡を取り合える墓友は、孤独死を避けることにもつながります。
安心感が得られる
ひとり暮らしのお年寄りにとって、一緒にお墓に入る仲間ができることは、安心感が得られ、孤独感を和らげることにつながります。
生涯未婚の方、妻や夫に先立たれてしまった方、熟年離婚をされた方などは、老後をひとりで暮らしていかなくてはならず、いろいろと相談できる墓友はとても心強い存在です。
費用の負担を減らせる
新たにお墓を建てるとなれば、墓石代や永代使用料、お墓の手入れや法要など、費用がかかります。
墓友とお墓を共有することで、お墓にかかる費用を均等に配分でき、費用的な負担を減らすことができます。
また、共同埋葬、永代供養という形であれば、亡くなった後のお墓の管理や法要などを、墓地の管理者がしてくれるので安心です。
墓友のデメリットと注意点
一方で、墓友とお墓に入ることは、次のような注意点もあります。
ご家族の理解を得る
家族がいるけど、墓友と一緒のお墓に入りたいという場合は、ご家族の理解を得る必要があります。
「血縁ではない人と一緒に埋葬する」ことに、抵抗を感じるご家族も多いため、生前にしっかり希望を伝えておくようにしましょう。
詐欺や悪徳商法に気をつける
近年は高齢者をターゲットにした「終活詐欺」も増えています。
終活が注目され、さまざまな終活サービスを行なう企業も増えてきましたが、残念ながら優良な業者ばかりではありません。そのため、埋葬や供養についてはしっかりと調べ、信頼のおける業者を選ぶことが大切です。
ひとりで決めずに、ご家族や墓友と相談することで、リスクを減らすことができます。
お墓の費用分担
お墓の管理費・維持費などはとても重要ですので、墓友同士で、費用の分担について細かく決めておくことが大切です。
トラブルを避けるためにも、お墓にかかる費用は “均等に折半” することをおすすめします。
墓友の作り方
墓友を探すには、次の方法があります。
終活セミナー
自治体が開催する終活セミナーや、葬儀社などが開催する終活の勉強会など、さまざまな集まりがあります。
そうしたイベントに出席し、同じ目的の人を探すという方法があります。
墓友サークル
NPO法人や団体などが、墓友を探すためのサークルを作り、定期的にイベントを開催することも増えてきました。そこに参加して墓友を見つけることができます。
墓友サークルでは同じ目的の人が集うため、墓友を見つけやすく、また主宰する団体も、墓友がみつかるように積極的にサポートしてくれます。
老人ホーム・介護施設
老人ホームや介護施設などで共同墓地を用意して、一緒に入る墓友を募集するケースも増えてきました。
施設内での交流や、共通の趣味をもつ仲間ができれば、親ぼくを深めて墓友になることも可能でしょう。
インターネット
墓友を募集するサイトやSNSで墓友を集うコミュニティなどもあり、インターネットを活用することで、気軽に墓友を探すことができます。
ただし、インターネット上ではお互いの顔や素性を詳しく知ることができないため、インターネットを通して墓友を探す場合は、詐欺などにあわないよう気をつけましょう。
古くからの親友に声をかける
高齢になるにつれ、友人との話題が病気や終活の話になることも多いです。
古くからの親友であれば、信頼でき、話が合うことも多いので、親友にお墓の話をしてみることも、墓友をつくる方法の一つになります。
墓友のお墓の種類・費用
墓友と一緒のお墓に入ることを考えた場合は「永代供養墓」を選ぶ方が多く、永代供養墓には次の種類があります。
内容 | 相場 | |
---|---|---|
樹木葬 | 樹木の下に埋葬するお墓 | 10~80万円 |
共同墓・合祀墓 | 記念碑や供養塔の下に合祀 | 3~50万円 |
納骨堂 | 骨壷を納骨堂に納める | 10~100万円 |
個別墓 | 個別に墓石を建てご遺骨を納める | 30~100万円 |
永代供養墓は、お墓の管理者が法要してくれるので、墓友とご自身の双方が亡くなった後も安心です。
一般的に永代供養には埋葬期間が定められており、亡くなってから33年後もしくは50年後に他の人と合祀されます。
もちろん、ひとつのお墓を共同で購入するのではなく、同じお寺の納骨堂に入ったり、並んで樹木葬にするのも立派な墓友としての選択肢です。「同じお墓に入る」ことにこだわる必要はありません。
墓友まとめ
いまはお墓や埋葬を自分で選ぶ時代です。
結婚して家のお墓を守るという、従来の考え方は変わりつつあります。亡くなった後も自分らしくあるために、お墓や埋葬について考え、有意義な終活をしてみてください。