昨今は、身寄りのない老後の「おひとりさま」が増えています。
おひとりさまの場合は、一人暮らしならではの老後の準備をすることが大切です。
そこで今回は、「おひとりさまの終活でやるべき準備」について、やさしく解説します。
おひとりさまの終活とは?
一人暮らしをしている方を「おひとりさま」といいます。
おひとりさまの終活とは、「身寄りのない方が、人生の最期にむけて準備をすること」「老後を楽しく過ごす活動」を意味します。
略して「ひとり終活」とも呼ばれます。
おひとりさまの問題
昨今は、独身、熟年離婚、子供なし、親族と交流がなく疎遠、妻や夫に先立たれたなど、身寄りのない「老後のおひとりさま」が増えています。
老後のおひとりさまは、孤独死のリスクが高く、万一のときに発見が遅れてしまう恐れがあり、また、遺品整理の問題など、社会的にも問題になっています。
おひとりさまに終活は必要なのか?
「気がついたら、自分の老後や死後を託す人がいない」。そんな状況は誰にでも起こりえます。
このような、孤独死による悪影響や、老後の一人暮らしの不安を解消するためにも「おひとりさまの終活」は必要です。
また、終活は死後の準備だけでなく、これからの人生をよりよく生きるための活動でもあり、ひとり終活をすることで老後を楽しく過ごすことにつながります。
おひとりさまが終活でやるべき5つのこと
それでは、一人暮らしの終活では、どのようなことを行えばよいのか、「おひとりさまが終活でやるべき5つのこと」について見ていきましょう。
①身の回りを整理する
おひとりさまでも、終活における「身の回りの整理」は大切です。
身の回りの整理は、家具や洋服など日常生活で使うものだけでなく、PCやスマートフォンに保存されたデータなど、身の回りにあるすべての物(データ)を含みます。
物が溢れかえっていると、一人暮らしのケガの原因にもなりかねません。
不要なものを減らすことで身軽になり、また、ご自身の心の整理もつきますので、老後を楽しく暮らすことができます。
②財産を整理する
預貯金や不動産、有価証券や貴金属など、どこにどれだけの財産があるか、「財産を整理し、把握しておく」ことは、おひとりさまの終活において大切です。
老後の一人暮らしはお金もかかるため、医療や介護に備え、日頃からしっかり自分の資産を把握しておきましょう。
③遺言書を作る
身寄りがないから遺言相続は必要ない。と思われる方もいるかもしれませんが、おひとりさまであっても「遺言書」を作ることは大切です。
孤独死をした人の財産は、「国の財産」となってしまうため、財産を相続させたい人がいる場合は、しっかりと遺言書を残しましょう。
自分に何かあったときに備え、遺言書は元気なうちに用意しておくことをおすすめします。
④エンディングノートを作る
エンディングノートは、自分に万一のことがあったときに、お葬式やお墓のことなど、希望を書いておくためのメモ帳です。
遺言書のような法的効力はありませんが、残された人に自分の最期の希望を伝えることができます。また、財産がどこに保管されているかを伝える手段にもなりますので、生前整理と一緒にエンディングノートを作ってみましょう。
⑤もしものために備えておくこと
おひとりさまは、万一何かあってもいいように、次のことを備えておきましょう。
- 緊急連絡先を、親族、勤め先、友人、管理人などに伝えておく。
- 緊急ブザーを携帯する。
緊急ブザーは、自治体の福祉課にて無料で借りることもできます。急に苦しくなったときでも、緊急ブザーのボタンを押せば、職員が自宅までかけつけてくれるので安心です。
孤独死のリスクを避けるために
おひとりさまは「孤独死のリスク」が高くなります。
一人暮らしの方は、少しでも孤独死のリスクを下げるためにも、次のことを心がけるようにしましょう。
- サークルに入ったり、習い事を始める
- 散歩やお店の店員など、周りとコミュニケーションをとるようにする
- 一人暮らしであることを役所に知らせる
- 見守りサービスを利用する
一人暮らしだからこそ、積極的に散歩に出かけたり、サークルに入って周囲とのコミュニケーションをとることが大切です。
また、足腰がわるく、あまり外に出られない場合は、見守りサービスを利用することで、定期的に職員が家を訪問して安否を確認してくれるので、孤独死のリスクを下げることができます。
ひとり終活は「生前契約」を利用しよう!
生前契約とは、元気なうちに、認知症になったときの医療・介護や、死後のお葬式・お墓などについて決めておき、判断能力が衰えたときに、財産の管理を任せて、守ってもらう制度です。
「万が一自分が死んだらどうなる?」など、1人では解決が難しいこともたくさんあります。生前契約をしておくことで、一人暮らしの終活もスムーズに進められ、周囲への負担を少なくし、安心して最期を迎えることができます。
生前契約は、“一人暮らしの強い味方” になりますので、ぜひ利用してみましょう。
おひとりさま終活のおすすめ本3選
終活を一人で行うのは「不安」がいっぱいです。
そんな、一人暮らしの不安を解消してくれる「おひとりさま終活のおすすめ本」をご紹介します。
おひとりさまの終活
1つ目は、中澤まゆみ著書の「おひとりさまの終活(自分らしい老後と最後の準備)」。
一人暮らしの防災対策、医療、介護、葬送までを紹介し、シニアの悩みごとを集約した一冊です。「自分らしい最期を迎えるための準備」をするのに役立ちます。
ひとり終活
2つ目は、小谷みどり著書の「ひとり終活(不安が消える万全の備え)」。
おひとりさまでも安心な「高齢者向け住宅」「任意後見制度」「見守りサービス」「死後事務委任契約」など、老後の一人暮らしに心強い社会制度や、元気なうちにやっておくべき手続きを集約した一冊であり、おひとりさまの不安を解消できます。
おひとりさまの死後事務委任
3つ目は、島田雄左・吉村信一著書の「おひとりさまの死後事務委任」。
成年後見や死後事務委任など、おひとりさまが知っておきたい制度や手続きを集約した一冊であり、自分が認知症になったときや、亡くなった後に備えることができます。
広がる!おひとりさまの終活セミナー
最近は、身寄りのない一人暮らしの方を対象に「自治体による終活支援」が広がっています。
また、自分の最期は自分で決めたいと、NPO団体などが主催する「おひとりさまの終活セミナー」に参加する方も増えています。
終活セミナーでは、老後の医療や介護、終末期や死後への備え、エンディングノートの書き方などを紹介しており、おひとりさまの終活に役立つ内容が、盛りだくさんです。
おひとりさまの終活まとめ
おひとりさまの終活は、孤独死のリスクを下げたり、老後の一人暮らしを安心して暮らすためにも、大切な活動になります。
生前契約や見守りサービスなど、おひとりさまに心強いサービスもたくさんありますので、ぜひ活用し、最期まで幸せな人生を送りましょう。