法定後見制度を利用したいけど、「何をどうすればいいのか分からない・・・。」
そんな方のために、本記事では「法定後見制度の手続きと流れ。法定後見人の申立てに必要な書類」について、手順別にわかりやすく解説します。
法定後見制度の手続きと流れ
①申立て
法定後見制度を利用するには、まず家庭裁判所に「申立書」を提出し、後見人の申立てを行います。
このとき、医師の診断書や必要書類も添付します。(※必要書類はこちら↓)
必要書類は一式コピーしておくと、面接のときご自分が確認するための資料として役立ちます!
★提出方法
申立書は次のどちらかの方法で提出します。
- 家庭裁判所へ持参する
- 郵送する
★申立ての注意点
申立て後は、基本的に申立ての取り下げはできないでの注意が必要です。例えば、指定した “後見人候補者” が後見人として選ばれなかったといった場合でも、取り消すことができません。
②家庭裁判所による調査・審判
申立て後は、家庭裁判所による調査が行われます。
申立内容や医師の診断書、面接状況などから、「後見・補佐・補助」のどれに該当するか審判を出し、「成年後見人」が選任されます。
(場合によっては、成年後見人を監督する「成年後見監督人」が選任されることもあります。)
▼家庭裁判所による調査の内容
- 申立人、後見人候補者と面接
- 守られる本人と面接
- 親族への意向確認
- 医師による鑑定
調査期間は、時期によっても異なりますが、申立てから審判まで「1~3ヶ月程度」かかります。
審判の後、成年後見人に審判書が届き、2週間以内に親族などから異議の申立てがなければ、審判が確定します。
③後見の登記
審判が確定したら、家庭裁判所から東京法務局に「登記の依頼」がされます。(登記は2週間程度で完了します。)
登記(後見登記)には、「後見人の氏名や権限」の内容などが記載されています。
東京法務局で登記が完了したら、各都道府県の法務局で「後見登記事項証明書」が発行可能になるので、取得しましょう。
登記事項証明書は「後見人の権限」を証明する書類であり、本人の財産や預貯金の管理・取引など、さまざまな手続きをする際に必要になります。
④後見開始
登記が完了したら、成年後見人の仕事が開始となります。
後見人は、まず本人の財産を調査して「財産目録(財産リスト)」を作成する必要があります。
財産目録は審判が確定してから、1ヶ月以内に家庭裁判所に提出しなければいけません。
法定後見制度の必要書類
成年後見人の申立てに “必要な書類” と “取得方法” は次のとおりです。
必要書類 | 取得先 |
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申立書 |
家庭裁判所の窓口もしくは、郵送で取り寄せ、HPからダウンロード。 ※申立て先の家庭裁判所によって、書類の様式が異なります。 |
申立書の付票 | 家庭裁判所 |
申立人の戸籍謄本 | 本籍地のある市区町村役場 |
成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書※、登記事項証明書<各1通> | 本籍地のある市区町村役場 |
本人の戸籍謄本、戸籍の附票、登記事項証明書<各1通> | 本籍地のある市区町村役場 |
診断書(成年後見制度用) | 病院・診療所で医師に作成してもらう |
※身分証明書は、本籍地の役所が発行する破産宣告を受けていない旨の証明書のことです。
申立書の参考:申立セット一式(東京家庭裁判所)
法定後見制度の費用の目安
成年後見人の申立てにかかる費用の目安は次のとおりです。
①申立費用 | 収入印紙 800円/件 |
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②登記手数料 | 収入印紙 2,600円 |
③郵便切手 | 3,000円~5,000円程度 |
④鑑定費用 | 5万円~10万円程度(※必要な場合のみ) |
①申立費用
申立費用は「収入印紙800円/件」が必要です。保佐・補助において「代理権・同意権」を付与する場合によって金額が異なります。
後見開始の申立て | 800円 |
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保佐開始の申立て | 800円 |
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保佐開始の申立て + 代理権付与 | 1,600円 |
保佐開始の申立て + 同意権付与 | 1,600円 |
保佐開始の申立て + 代理権付与 + 同意権付与 | 2,400円 |
補助開始の申立て + 代理権付与 | 1,600円 |
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補助開始の申立て + 同意権付与 | 1,600円 |
補助開始の申立て + 代理権付与 + 同意権付与 | 2,400円 |
②登記手数料
登記手数料は「収入印紙2,600円分」が必要です。
③郵便切手
郵便切手は「3,000円~5,000円程度」です。
※申立てをする家庭裁判所によって金額・内訳が異なりますので、裁判所の窓口やHPで確認しましょう。
④鑑定費用
鑑定費用は「5万円~10万円程度」です。
※医師による鑑定が必要な場合のみかかります。(実際に行われるケースは稀)