2030年には、人口の約1/3が高齢者になり、労働力人口の減少、社会保障費の増大など、さまざまな問題が懸念されています。
今回は、「2030年問題とは何か?高齢化と労働力不足が引き起こす問題」について、図解でわかりやすく解説します。
2030年問題とは?
2030年問題とは、2030年には「人口の1/3が高齢者」になり、労働力人口の減少が懸念されている問題です。
2030年には「3人に1人」が高齢者に!
上記は、内閣府による2030年までの高齢者の人口推移(予測)です。
2030年をむかえる頃には、2010年に約1億2800万人だった日本の総人口が約1億1,900万人まで減少し、国民の「3人に1人」が65歳以上の高齢者になると予測されています。
深刻な人手不足
2030年には、7,073万人の人材が必要となるのに対し、労働人口が6,429万人しか見込めず、「644万人の人手不足」になると予測されています。
すでに、「航空業界」「IT業界」「観光業界」「介護業界」では労働力不足が顕著化しています。
2030年の超高齢社会が引き起こす問題
①住宅問題「3軒に1軒が空き家に」
近年、「空き家問題」が社会を賑わせていますが、国立社会保障・人口問題研究所によると、2030年には「3軒に1軒が空き家」になると予測されています。
②パイロット不足
日本の航空業界に「2030年問題」が襲いかかっています。
航空需要が高まっている一方で、パイロットの数が追い付いていないのが現状です。
国内のパイロットは、40代後半~50代前半に偏っており、この年代が2030年には一斉に退職時期をむかえるため、パイロット不足が危惧されています。
③IT人材不足
参考:経済産業省「IT 人材需給に関する調査 平成30年度」
この先、IoTや人工知能(AI)の市場拡大が予測されていますが、IT業界では高齢化の一途をたどり、2030年までに最高で「約79万人」のIT人材不足が懸念されています。
④年金問題
(厚生年金の支給開始年齢 ※女性・報酬比例部分)
厚生年金の支給開始年齢が「65歳から」に完全移行するのが2030年です。
年金は働く現役世代が負担しているため、高齢者が増え、労働力が減ることで、「支給額の減少」「支給開始年齢の引き上げ」など、年金制度の見直しが必要になっていきます。
現に政府内では、2030年を目処に、年金の支給開始年齢を「68歳~70歳」に引き上げるプランも検討されています。
⑤医療・介護問題
超高齢化社会で大きな課題となるのが、「医療」と「介護」の問題です。
2025年、2030年にかけて、介護を必要とする後期高齢者が増え、医療・介護業界の人材・施設が不足するといわれています。
高齢者の数に対して、医師や介護士の数が不足することにより、十分な医療・介護が受けられないという問題が生じます。
2030年問題に向けた対策
(2030年の増加が期待される働くシニアの人数)
高齢化と人手不足に対して、政府は「生涯現役社会」を掲げ、「定年延長」への動きを進めています。
希望する高齢者が「70歳まで働くことができる」制度を、2021年4月から企業の努力義務とすることを決定しました。
シニアの人が働きやすい労働環境を整備し、就労を促すことで、163万人のシニアの活躍が期待されています。
高齢化と労働力人口の減少への対策
- 働くシニアを増やす
- 働く女性を増やす
- 日本で働く外国人を増やす
- AIやロボット化などITを活用して、生産性を上げる(労働需要を減らす)
2030年問題のまとめ
2030年には、国民の3人に1人が65歳以上の高齢者となり、労働力不足が懸念されています。
とくに「航空業界」「IT業界」「観光業界」「介護業界」の人手不足が深刻です…。